ETFの売り時がわからない人へ。5つの「売っていいサイン」

ETFを買ったはいいけど、「これ、いつ売ればいいの?」と思ったこと、ありませんか。

証券アプリを開くと含み益が出ている。うれしい。でも「ここで売ったら、もっと上がるかも」と思うと手が動かない。逆に含み損のときは「もう少し待てば戻るかも」と祈るだけ。結局、買ったきり何もしない。

実は、ETFの売り時には「正解」がある。というか、「売っていい場面」と「売らなくていい場面」がはっきり分かれているんですね。

この記事の要点

  • 長期投資のETFは「基本的に売らない」が正解。でも5つの例外がある
  • 売っていいサイン: 目標達成、リバランス、生活資金が必要、銘柄変更、非課税枠の整理
  • 新NISAで売却すると、翌年に非課税枠が復活する(簿価分)
  • 「○%下がったから売る」はやってはいけない売り方の代表

そもそもETFは「売らなくていい」投資商品

いきなり身もふたもないことを言いますが、長期投資のETFは基本的に売らなくていいんです。

ETFって、まるで果樹園みたいなもので。木を植えて(=買って)、水をやって(=積み立てて)、りんごが実るのを待つ(=分配金や値上がり)。途中で「今日りんごが3個しかならなかった」と焦って木を切り倒す人はいないですよね。

S&P500に連動するETFの過去30年のリターンは年平均約10%。途中で暴落は何度もあったけど、持ち続けた人が一番得をしている。売り時を気にするより、持ち続ける方が難しくて、そして大事。

とはいえ、「絶対売るな」ではない。売った方がいい場面は確かにあります。

ETFを売っていい5つのサイン

1. 目標金額に到達した

「老後資金として2,000万円貯める」「子どもの大学費用400万円を準備する」。こういうゴールを決めて投資していたなら、達成した時点で売却してOK。

よくある失敗は、目標に達したのに「もうちょっと増えるかも」と欲張ること。これ、まるでパチンコで勝っているのにやめられない心理と同じですよ。目標を決めたなら、達成したら売る。シンプルだけど、これが一番大事なルール。

2. リバランスのタイミング

たとえば「株式70%、債券30%」と決めて投資していたのに、株が値上がりして「株式85%、債券15%」になっていたとします。

この状態は、お弁当箱にご飯を詰めすぎて、おかずの場所がなくなっている感じ。栄養バランスが崩れている。

こういうときは株式ETFの一部を売って、債券ETFを買い足す。これがリバランス。日本証券業協会は年に1回のリバランスを推奨しています。

3. 生活でお金が必要になった

突然の入院、転職で収入が減った、引っ越し費用。生活に必要なお金のために投資を取り崩すのは、まったく恥ずかしいことじゃない。

投資はあくまで「余剰資金」でやるもの。生活が苦しいのに含み益を眺めて「まだ売りたくない」と我慢するのは本末転倒ですね。

4. もっと良い銘柄が見つかった

投資を始めたころに選んだETFが、2年後に見ると「信託報酬が高い」「もっと分散されたETFがある」と気づくことがある。

たとえば信託報酬0.3%のETFから0.06%のETFに乗り換えると、100万円運用で年間2,400円の差。10年で24,000円。大きくはないけど、理由があるなら乗り換えてもいい。ただし「なんとなく話題だから」で売買するのはNG。

5. 新NISA非課税枠の整理

新NISAには1,800万円の非課税枠があって、売却すると翌年にその分(簿価)が復活する。

つまり、含み益が大きくなったETFを売却して利益を非課税で確定し、翌年に復活した枠で買い直す、という使い方ができる。金融庁のNISA特設ページにも枠の復活ルールが載っています。

ただし注意点が1つ。売却した年に復活するのではなく「翌年」。年末に慌てて売ると、枠が復活するのは来年になるので、計画的に。

売りサイン具体的なタイミング注意点
目標金額に到達事前に決めた金額に到達した時「もう少し」の欲を出さない
リバランス年1回、配分が10%以上ずれた時売りすぎず、比率を戻すだけ
生活資金が必要緊急の出費、収入減生活防衛資金を先に使い切ってから
銘柄の乗り換え信託報酬が安い銘柄が出た時頻繁な乗り換えは逆効果
NISA枠の整理含み益の確定+翌年枠で再投資枠復活は「翌年」。年内ではない

これは「売り時」じゃない。やってはいけない3パターン

逆に、こういう理由で売るのは失敗のもと。

「○%下がったから」
株価が20%下がるとパニックで売りたくなる。でもS&P500は2020年のコロナショックで34%下がった後、1年で最高値を更新した。下がったから売るのは、バーゲンセールの商品を定価に戻るまで待ってから買い戻すようなもの。

「ニュースが怖いから」
「○○ショック」「世界経済の先行き不透明」。こういうニュースが出るたびに売っていたら、投資はできない。市場は常に何かしらの不安を抱えているもの。

「周りが売ったから」
友人が「利確した」と聞いて焦る気持ちはわかる。でも、投資のゴールは人それぞれ。自分のルールを持っていれば、他人の判断に振り回されなくなりますよ。

注意 含み損のときに売ると「損失確定」になる。新NISAの場合、損益通算ができない(他の口座の利益と相殺できない)ので、NISAでの損切りは特に慎重に。

売るときに知っておきたいNISAの税金ルール

ETFの売り時を考えるとき、どの口座で持っているかで税金が変わる。

口座の種類売却益の税金損益通算
新NISA口座非課税できない
特定口座(源泉あり)約20.315%できる
一般口座約20.315%(確定申告が必要)できる

新NISAで利益が出ているETFは、売却しても税金ゼロ。これは大きなメリット。一方で、NISAで損が出ているETFを売ると、その損失は「なかったこと」になる。特定口座の利益と相殺できないので、NISAでの損切りは最終手段。

iDeCoとNISAの税制比較も参考にしてみてください。

自分だけの「売りルール」の作り方

ETFの売り時に悩まないために、買う前にルールを決めておくのが一番です。

売りルールを作るチェックリスト

  • 投資のゴール(金額と時期)を紙に書いた
  • 資産配分の目標比率を決めた(例: 株式70%、債券30%)
  • リバランスの頻度を決めた(年1回がおすすめ)
  • 「この金額になったら売る」の基準を数字で決めた
  • 「下がっても売らない」と自分に約束した

ルールを紙に書いて、証券アプリの横に貼っておく。冗談みたいだけど、これが一番効く。暴落のときにスマホを開いて、冷静でいられる人はほとんどいないので。

まだETFの銘柄選びで迷っている人は、新NISAの成長投資枠でおすすめのETF5本も参考にどうぞ。

よくある質問

ETFの売り時はいつがベスト?

「ベストなタイミング」を当てるのは不可能。だからこそ、目標金額の達成やリバランスなど、事前に決めたルールで機械的に売るのが正解。タイミングを読もうとすると、たいてい失敗する。

ETFの含み益が50%を超えた。売った方がいい?

目標金額に達していないなら、売る理由はない。含み益はあくまで「紙の上の利益」。50%上がった後にさらに上がることもある。売るかどうかは「利益率」ではなく「ゴールに近いか」で判断してください。

暴落が来たらETFを全部売るべき?

逆。暴落は「安く買い増すチャンス」。過去の暴落(リーマンショック、コロナショック)では、1〜3年で株価が回復している。全部売ると、回復局面の利益を丸ごと逃すことになりますよ。

ETFの売り時は「感情」ではなく「ルール」で決める。今日やることは1つ。自分の投資ゴールを紙に書き出すこと。それが売り時を迷わない一番の準備です。