投資信託とETF、結局どっちがいい?3年やった本音と選び方

証券口座を開いた日、S&P500を買おうとしたら2つ出てきました。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「MAXIS米国株式(S&P500) ETF【2558】」。名前がそっくりなのに、片方は投資信託で、片方はETF。

「名前が違うだけでしょ?」と思って適当に投資信託のほうを買いました。3年経った今、両方やってみた結果を書きます。先に言うと、どっちが正解かは人によって全然違いました。

この記事の要点

  • 投資信託は「おまかせ自動運転」、ETFは「マニュアル車」。どちらもゴールは同じだけど乗り心地が違う
  • 信託報酬の差はS&P500同士なら年間0.01%程度。100万円で年100円の差
  • 最大の違いは「分配金の自動再投資」。投資信託は自動、ETFは手動
  • 新NISAのつみたて投資枠では投資信託が圧倒的に選びやすい(対象279本 vs ETF 8本)
  • 初心者はまず投資信託。ETFは慣れてきてから成長投資枠で試すのがおすすめ

投資信託とETF、何が違うの?

まず根本的な話をすると、投資信託もETFも「いろんな株をまとめたパッケージ商品」です。お弁当で例えるなら、投資信託は「日替わり弁当を予約注文する」感じ。ETFは「スーパーの惣菜コーナーで値段を見ながら自分で選ぶ」感じ。

どちらもお弁当(分散投資)を食べることに変わりはないけど、買い方と細かいルールが違います。

比較項目投資信託ETF
上場しているか非上場上場している
取引タイミング1日1回(基準価額)リアルタイム(株と同じ)
最低購入額100円から1口単位(数千円〜)
注文方法金額指定のみ指値・成行が可能
購入できる場所証券会社・銀行・郵便局証券会社のみ
分配金の再投資自動(設定可能)手動(自分で買い直す)
信託報酬の傾向やや高めやや低め

この表を見て「ETFのほうが手数料安いならETFでしょ」と思うかもしれません。でもちょっと待ってください。

信託報酬の差、実際いくら?

一番気になるコストの話をします。同じS&P500に連動する商品で比べてみました。

商品名種類信託報酬(税込)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)投資信託年0.0814%
MAXIS 米国株式 ETF【2558】ETF年0.077%
iシェアーズS&P500 ETF【1655】ETF年0.066%(期間限定)

eMAXIS Slim とMAXIS ETFの差は0.0044%。100万円を1年運用して差額はたったの44円。1,000万円でも440円。ラーメン1杯にもなりません。

正直、この差で商品を選ぶのはあまり意味がありません。もっと大事な違いが別にあります。

本当に大事な違いは「再投資」と「手間」

3年間両方を運用してみて、一番実感したのがこれでした。

投資信託の「ほったらかし力」がすごい

投資信託は月3万円の積立を設定したら、あとは本当にやることがゼロです。分配金も自動で再投資されるので、複利の効果がそのまま積み上がっていきます。

100万円を年5%で20年運用した場合、分配金を再投資するかしないかで約65万円の差が出るというシミュレーションがあります。投資信託はこれが自動。ETFは自分で再投資しないとこの差が開きます。

ETFは「ちょっとした手間」が地味にある

ETFを積み立てようとすると、こんな手間が発生します。

  • 1口単位でしか買えないので、「月3万円ぴったり」が難しい(端数が出る)
  • 分配金が証券口座に振り込まれるので、手動で買い直す必要がある
  • リアルタイム取引なので「今の価格で買うか、もう少し待つか」と迷う

最初は「リアルタイムで売買できるって面白い!」と思ってたんですが、半年くらいで飽きました。結局長期投資なら買うタイミングなんてほぼ関係ない。

知っておこう ETFの分配金を手動で再投資しないまま放置すると、長期的に複利効果が薄れます。めんどくさがりな人は投資信託の自動再投資のほうが向いています。

新NISAで買うならどっち?

2024年から始まった新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。この2つで事情がだいぶ変わります。

つみたて投資枠 → 投資信託一択

つみたて投資枠の対象商品は投資信託が約280本あるのに対して、ETFはたったの8本。選択肢がケタ違いです。

しかもETFをつみたて投資枠で積立設定できる証券会社が限られている。SBI証券や楽天証券でもETFの自動積立は投資信託ほどスムーズじゃありません。

つみたて投資枠で年間120万円を使い切りたいなら、投資信託のほうが金額指定で買えるのでぴったり埋めやすいです。

成長投資枠 → ETFも選択肢に入る

成長投資枠は年間240万円。こちらは個別株もETFも買えます。すでにつみたて投資枠で投資信託を積み立てている人が、成長投資枠でETFを試してみるのはアリ。

たとえば高配当ETFを成長投資枠で買って、分配金を非課税で受け取るという使い方。ETF初心者向けの始め方は別記事でまとめています。

こんな人は投資信託、こんな人はETF

3年やってみた結論をまとめます。

あなたのタイプおすすめ理由
投資を始めたばかり投資信託100円から始められて、自動再投資・自動積立でほったらかし
新NISAのつみたて投資枠を埋めたい投資信託対象商品が280本で金額指定もできる
忙しくて投資に時間をかけたくない投資信託一度設定したら完全放置でOK
リアルタイムで売買したいETF株のように指値注文・成行注文が可能
配当金を現金で受け取りたいETF分配金が自動で口座に振り込まれる
コストを1円でも抑えたい上級者ETF信託報酬がわずかに低い傾向

迷ったら投資信託から始めてください。実際、私も最初の1年は投資信託だけでした。ETFは「投資信託で慣れてきて、分配金を手動で再投資する手間が苦じゃなくなった」段階で買い始めました。

よくある勘違い3つ

「ETFのほうが手数料安いから絶対お得」は嘘

確かにETFの信託報酬は低い傾向がありますが、S&P500のようなメジャーな指数だと投資信託との差は年0.01%以下。それより分配金の再投資を忘れるリスクのほうがよっぽど大きいです。

「投資信託は手数料が高い」は昔の話

10年前なら信託報酬1%超の投資信託がゴロゴロありました。でも今はeMAXIS Slimシリーズが0.08%台。ETFの手数料と比較してもほとんど差がない水準まで下がっています。

「両方買えばいい」は半分正解

同じ指数の投資信託とETFを両方買うのは、分散にはなりません(中身が同じだから)。ただし「つみたて投資枠でインデックス投資信託+成長投資枠で高配当ETF」のように、目的を分けて使うなら両方持つ意味があります。

注意 ETFを購入する際は、出来高(取引量)を必ず確認してください。出来高が少ない銘柄は売りたいときに売れない、あるいは不利な価格でしか売れないことがあります。東京証券取引所(JPX)のサイトで出来高ランキングを確認できます。

まとめの代わりに:私の使い分け

今の私の使い方はこうです。

  • 新NISAつみたて投資枠(年120万円)→ eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を毎月自動積立
  • 新NISA成長投資枠(年240万円の一部)→ 日本の高配当ETFを分配金目的で購入

投資信託で資産をコツコツ増やしつつ、ETFで「分配金が口座に入る体験」を楽しんでいます。どっちが正解ということはなくて、自分の性格と目的に合ったほうを選ぶのが一番です。

まだ決められないなら、投資信託協会のサイトで投資信託の基礎知識をチェックしてみてください。まずは月1,000円の投資信託から始めて、半年くらい経ってからETFを検討しても全く遅くありません。

よくある質問

Q. 投資信託とETF、税金の扱いは同じ?

基本的に同じです。どちらも売却益や分配金に約20.315%の税金がかかります。新NISA口座で運用すれば非課税。ETF分配金の税金計算は別記事で詳しく書いています。

Q. 投資信託からETFに乗り換えたくなったらどうする?

投資信託を売却して、その資金でETFを購入する形になります。ただし課税口座で売却すると利益に税金がかかるので、新規資金でETFを始めるか、NISA口座内で完結させるほうが無駄がないです。

Q. 同じ指数の投資信託とETFの値動きは同じ?

ほぼ同じです。どちらも同じ指数(たとえばS&P500)に連動するように運用されています。ただしETFは市場の需給で価格が基準価額と若干ずれる(乖離する)ことがあります。長期投資ならこの乖離は気にするレベルではありません。

Q. ETFの分配金はいくらくらい?

銘柄によります。S&P500連動の国内ETF【2558】なら分配金利回りは年1%前後。高配当ETFなら3〜4%程度。分配金の受取タイミングや計算方法はこちらの記事にまとめています。