証券口座を開いて、買いたい銘柄も決めた。いざ注文画面を開くと「成行」「指値」「逆指値」という見慣れない言葉が並んでいて、手が止まってしまう。株をはじめたばかりの方が最初につまずくのが、この注文方法の選択です。
でも安心してください。株の注文方法は、実質たった3つです。しかも、それぞれ「八百屋さんでの買い物」にたとえると驚くほど簡単に理解できます。この記事では、2026年最新版として、成行・指値・逆指値の違い、約定(やくじょう)のルール、2024年11月から15時30分までに延長された東証の取引時間、損切りを自動化するワザまで、初心者の方向けにやさしく解説します。
この記事の要点まとめ
- 注文方法は成行(今すぐ買う・売る)/指値(この値段なら買う・売る)/逆指値(この値段になったら自動発注)の3つだけ
- 成行は約定しやすいが値段は選べない。指値は値段を選べるが約定しないことがある。一長一短で使い分けが大事
- 逆指値は損切りの自動化に使う。「買値から8%下がったら売り」と先に仕掛けておけば、ズルズル塩漬けを防げる
- 約定は「価格優先・時間優先」のルールで決まり、成行注文は指値注文より優先される
- 東証の取引時間は9:00〜11:30(前場)と12:30〜15:30(後場)。2024年11月5日から終了が15時30分に延長され、クロージング・オークションで終値が決まる方式に変わった
株の注文方法は3つだけ|まずは全体像
株の売買は、お店と違って「値札どおりに買う」だけではありません。自分がどう買いたいか(売りたいか)を注文方法で指定します。3つを八百屋さんにたとえると、こうなります。
| 注文方法 | ひとことで言うと | 八百屋さんにたとえると |
|---|---|---|
| 成行(なりゆき) | 値段はいくらでもいいから今すぐ売買したい | 「おいくらでも結構です、今すぐください!」 |
| 指値(さしね) | この値段なら売買したい | 「1個100円になったら買います」と伝えて待つ |
| 逆指値(ぎゃくさしね) | この値段になってしまったら自動で売買してほしい | 「値上がりして120円を超えたら、その時は買っておいて」と店主に頼んでおく |
成行と指値が「攻め」の基本形、逆指値は「守り」の自動化装置、と覚えておくと整理しやすいです。それでは1つずつ見ていきましょう。
成行注文とは|スピード最優先、ただし値段は選べない
成行注文は、値段を指定せず「今の市場の値段で今すぐ」売買する注文です。
- メリット:ほぼ確実に、すぐ約定する。「買いたいのに買えない」がない
- デメリット:いくらで約定するかは成り行き次第。注文の瞬間に株価が動くと、想定より高く買ったり安く売れたりする
特に注意したいのが、売買が少ない(板が薄い)銘柄です。買い手と売り手の希望価格の差が大きい銘柄で成行を使うと、想定外の価格で約定することがあります。日経平均に入っているような大型株では起きにくい現象ですが、小型株では成行は慎重に使いましょう。
指値注文とは|値段を約束できる、ただし約定しないことも
指値注文は、「1,000円以下になったら買う」「1,200円以上になったら売る」と値段を指定する注文です。
- メリット:指定した値段より不利な価格で約定することは絶対にない。感情に流されず、決めたルールで売買できる
- デメリット:株価が指定価格まで来なければ、いつまでも約定しない。買い損ねて株価が上がっていく「置いていかれ」もある
指値には有効期間を設定できます(当日中・今週中・日付指定など、証券会社により異なります)。「当日中」のつもりが期限切れで失効していた、というのは初心者あるあるなので、注文後は注文照会画面で状態を確認する習慣をつけましょう。
逆指値注文とは|損切りを自動化する「見張り番」
逆指値は、その名のとおり指値の逆です。指値が「安くなったら買う・高くなったら売る」なのに対し、逆指値は「指定した価格以上に上がったら買う」「指定した価格以下に下がったら売る」という注文です。
一見不思議に見えますが、最大の使いどころは損切りの自動化です。たとえば1,030円で買った株に「990円まで下がったら売り」の逆指値を入れておけば、仕事中や寝ている間に急落しても、損失が小さいうちに自動で売却されます。「いつか戻るはず」と保有し続けて身動きが取れなくなる、いわゆる塩漬け株を防ぐ効果は絶大です。
トリガー後の注文も選べる。逆指値は「990円に達したら成行で売る」「990円に達したら985円の指値で売る」のように、発動後の注文方法も指定できます。確実に手放したいなら成行、急落時の投げ売り価格を避けたいなら指値、と目的で選びましょう。ただし指値型は、株価が一気に飛んで指値を通り過ぎると約定しないリスクがあります。
3つの注文方法を一覧で比較
| 項目 | 成行 | 指値 | 逆指値 |
|---|---|---|---|
| 値段の指定 | できない | できる | 発動条件+発動後の方法を指定 |
| 約定のしやすさ | ほぼ確実 | 価格次第で約定しないことも | 条件に達するまで発動しない |
| 想定外の価格リスク | あり(板が薄い銘柄は特に) | なし | 成行型はあり/指値型は未約定リスク |
| 主な使いどころ | 今すぐ売買したいとき・損切り | ふだんの買い・利益確定の売り | 損切りの自動化・高値ブレイク買い |
約定のしくみ|「価格優先・時間優先」の2大ルール
注文を出すと、取引所で買い注文と売り注文がマッチングされて約定します。順番を決めるルールは2つだけです。
- 価格優先の原則:買いは高い注文から、売りは安い注文から優先される。そして成行注文は指値注文より常に優先
- 時間優先の原則:同じ価格なら、先に出した注文から約定する
つまり「早い者勝ち・条件のいい者勝ち」のオークションです。注文画面にある「板(いた)」は、いまどの価格にどれだけの買い・売り注文が並んでいるかの一覧表。板を見れば「自分の指値の前に何株並んでいるか」が分かるので、慣れてきたらぜひ眺めてみてください。
東証の取引時間は15時30分まで|クロージング・オークションとは
注文がいつ約定するかを知るには、取引時間も押さえておきましょう。2024年11月5日、東証は約70年ぶりの改革で取引終了を15時から15時30分に延長しました。2026年現在の取引時間は次のとおりです。
| 時間帯 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 9:00〜11:30 | 前場(ぜんば) | 午前の取引 |
| 11:30〜12:30 | 昼休み | 取引なし(注文は出せる) |
| 12:30〜15:25 | 後場(ごば) | 午後の取引 |
| 15:25〜15:30 | クロージング・オークション | 注文を受け付けつつ約定は止め、15:30に板寄せでその日の終値を決定 |
最後の5分間(プレ・クロージング)は、注文は出せるものの即座には約定せず、たまった注文を15時30分に一度に突き合わせて終値を決めます。終値の透明性を高めるための仕組みで、「15時25分を過ぎたら、ザラバのようにすぐは約定しない」と覚えておけばOKです。
なお、取引時間外でも注文の予約はいつでも可能です。仕事終わりの夜に注文を出せば、翌営業日の朝9時(寄付)に処理されます。夜に成行注文を出すと翌朝の始値で約定するため、海外市場の急変があると想定外の価格になることがある点だけ注意しましょう。
初心者の使い分け実践|迷ったらこの3パターン
理屈が分かったところで、実際の場面別に「正解」を整理します。
| 場面 | おすすめの注文 | 理由 |
|---|---|---|
| ふだんの買い注文 | 指値(現在値の少し下〜現在値あたり) | 高値づかみを防ぎ、決めた予算内で買える |
| どうしても今すぐ買いたい・売りたい | 成行(大型株に限る) | 確実に約定する。板の厚い銘柄ならリスク小 |
| 買ったらすぐやること | 逆指値で損切りラインを設定 | 下落時に自動で損失を限定。塩漬け防止 |
基本は「買いは指値、損切りは逆指値、成行は板の厚い銘柄で緊急時のみ」。この型だけで、初心者がやりがちな失敗の大半は防げます。
損切りルールの作り方|「買値の−8%」から始めよう
逆指値を使いこなす鍵は、損切りラインを買う前に決めておくことです。よく使われる目安が買値から−8〜−10%。たとえば1,000円で買ったら、920円前後に逆指値の売りを入れておきます。
- 下がって発動すれば、損失は投資額の1割未満で確定。再起不能なダメージにならない
- 上がっていけば、逆指値の価格も定期的に切り上げる(1,200円になったら逆指値を1,100円へ)。利益を守りながら上昇を追える
- 証券会社によっては、株価に合わせて逆指値が自動で追従するトレール注文も使える
「損切りは負けではなく、次の投資への乗り換え」です。ルールを機械に任せられるのが逆指値の最大の価値です。
知っておきたい「値幅制限」|ストップ高・ストップ安とは
注文方法とあわせて覚えておきたいのが値幅制限です。日本の株式市場では、1日に動ける株価の範囲が前日の終値を基準に決められています。急騰・急落から投資家を守るためのルールで、上限まで上がることをストップ高、下限まで下がることをストップ安と呼びます。
- ストップ高・ストップ安に張り付くと、買いたくても買えない/売りたくても売れない状態になることがある
- 悪材料でストップ安に張り付いた場合、逆指値の損切りを入れていても約定しないことがある。逆指値は万能ではなく、あくまで「リスクを大きく減らす」道具と心得る
- だからこそ、1銘柄に資金を集中させない分散投資が最後の安全装置になる
注文でやりがちな失敗TOP5
| ありがちな失敗 | 対策 |
|---|---|
| ①板の薄い小型株に成行注文を出して想定外の価格で約定 | 小型株は必ず指値。成行は大型株だけにする |
| ②指値が安すぎて約定せず、株価だけ上がっていく | 本気で買いたいなら現在値付近に指値。数円をケチらない |
| ③指値の有効期限切れに気づかず放置 | 注文後は注文照会で状態確認。期間指定も活用 |
| ④損切りの逆指値を入れず塩漬けに | 買った直後に逆指値をセットする習慣をつける |
| ⑤夜間に成行注文→翌朝の急変動で高値づかみ | 夜間の予約注文は指値が基本 |
注文方法は、車でいえば「アクセル・ブレーキ・シートベルト」のようなもの。成行と指値で売買をコントロールし、逆指値というシートベルトを必ず締める。これだけで、株式投資の安全性は大きく変わります。これから口座を作る方はネット証券 口座開設のやり方から、銘柄選びに迷ったら株の銘柄の選び方をどうぞ。少額から注文の練習をしたい方には、1株から買える単元未満株(ミニ株・S株)もおすすめです。タイミングを計らずコツコツ積み立てたい方はドルコスト平均法もあわせてご覧ください。