NISA口座で高配当株を買って配当金を受け取ったのに、なぜか約20%の税金が引かれていた。これは初心者がとても多くやってしまう失敗です。原因はほとんどの場合「配当金の受け取り方法(受取方式)」の設定ミスにあります。実は、NISA口座で株式の配当金を非課税で受け取るには、4つある受取方式のうち「株式数比例配分方式」を選んでおく必要があります。
この記事では、配当金の4つの受け取り方法の違いと選び方、NISAで非課税にするための設定、そして「株式数比例配分方式にしているのに課税される」3つの落とし穴まで、2026年の最新ルールにそってやさしく整理します。難しい税金の話も、できるだけ日常の例え話に置きかえて説明していきます。
そもそも「配当金の受け取り方法」とは?
株を持っていると、企業が利益の一部を株主に還元する「配当金」が年に1〜2回支払われます。このとき、配当金を「どこへ・どうやって」受け取るかを、あらかじめ証券会社で登録しておくしくみになっています。これが「配当金の受け取り方法(受取方式)」です。
イメージとしては、ネット通販で買った商品の「配送方法」を選ぶのに似ています。同じ商品でも「自宅に届ける」「コンビニ受け取り」「宅配ボックス」など受け取り方を選べますよね。配当金も同じで、「証券口座に入れる」「銀行口座にまとめて振り込む」「郵便で受け取る」といった受け取り方を選べるのです。
そして重要なのは、この受け取り方の選び方しだいで、NISAの配当金が非課税になるか課税されるかが変わってしまうという点です。ここを知らずに初期設定のまま放置していると、本来ゼロでいいはずの税金を取られてしまいます。
配当金の受け取り方法は4種類
国内上場株式の配当金の受け取り方法は、大きく次の4種類があります。それぞれの特徴を表にまとめました。
| 受取方式 | 受け取り先 | NISAの配当 | こんな人向け |
|---|---|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 各証券会社の口座に株数に応じて入金 | 非課税にできる | NISAを使う人・投資をする人ほぼ全員 |
| 登録配当金受領口座方式 | 登録した1つの銀行口座に全銘柄まとめて入金 | 課税される | 配当を銀行口座でまとめたい人 |
| 個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに指定した銀行口座へ入金 | 課税される | 銘柄ごとに受け取り先を分けたい人 |
| 配当金領収証方式 | 郵送される「領収証」を郵便局などで現金化 | 課税される | 昔ながらの受け取りに慣れた人 |
この表からわかるとおり、NISAで配当を非課税にできるのは「株式数比例配分方式」だけです。残りの3つを選んでいると、せっかくNISA口座で持っている株でも配当金に税金がかかってしまいます。投資を始める人は、基本的に株式数比例配分方式を選んでおけば間違いありません。
なぜ株式数比例配分方式だけが非課税なのか
株式数比例配分方式は、配当金を「銀行」ではなく「証券口座そのもの」に入金する方式です。証券会社はその株がNISA口座のものか、課税口座(特定口座・一般口座)のものかを把握しています。だからNISA口座の株の配当だとわかり、非課税の処理ができるのです。
一方、銀行口座に振り込んだり郵送で受け取ったりする方式だと、証券会社の「NISAだから非課税にする」というしくみを通らないため、自動的に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が引かれてしまいます。
設定を変えると「全証券会社・全口座」に反映される
ここで多くの人が誤解しやすいのが、受取方式は1つしか選べず、しかも全証券会社で共通になるという点です。
配当金の受取方式の情報は「証券保管振替機構(通称ほふり)」という機関で一元管理されています。そのため、A証券で「株式数比例配分方式」に変更すると、その変更がほふりを通じてあなたが口座を持つすべての証券会社に自動で反映されます。「A証券だけは株式数比例配分方式、B証券は銀行受け取り」といった使い分けはできません。
これは例えるなら、引っ越しのときに役所へ転居届を1回出すと、その住所情報が関係各所に共有されるのと似ています。1か所変えれば全部に反映される、と覚えておきましょう。
さらに、株式数比例配分方式を選ぶと、NISA口座だけでなく特定口座・一般口座で持っている株の配当も、すべて証券口座に入金されるようになります。配当金がそれぞれの証券口座に入るので、そのまま再投資しやすいというメリットもあります。
株式数比例配分方式でも課税される「3つの落とし穴」
「株式数比例配分方式にしたから安心」と思っていても、次の3つのケースでは配当金が課税されてしまいます。ここが一番のつまずきポイントです。
落とし穴1:権利確定日までに設定が間に合わない
配当金が非課税になるかどうかは、「配当の権利が確定する日(権利確定日・基準日)」時点の設定で決まります。権利確定日より後に株式数比例配分方式へ変更しても、その回の配当には間に合いません。しかも設定手続きには反映まで数日〜1週間ほどかかることがあります。配当をねらう株を買ったら、まず最初に受取方式を設定しておくのが鉄則です。
落とし穴2:外国株(米国株など)の配当には適用されない
株式数比例配分方式が使えるのは、基本的に国内上場株式の配当金です。国内市場に上場している外国株式(国内上場外国株式)などは適用外で、課税されることがあります。なお、米国株そのものの配当は日本のNISAなら国内課税は非課税になりますが、現地(米国)での源泉徴収10%は引かれたままです。さらにNISA口座の配当は外国税額控除(二重課税の調整)が使えないため、この10%は取り戻せません。外国株の高配当をねらう人はこの点を理解しておきましょう。米国の高配当ETFについては米国高配当ETF VYM・HDV・SPYDの比較もあわせてご覧ください。
落とし穴3:一度課税されると後から取り戻せない
配当金は「支払い時点の設定」で課税・非課税が決まります。受取方式の設定をうっかり忘れて課税されてしまった配当を、あとから「やっぱり非課税にして」と変更することはできません。だからこそ、最初の設定がとても大事なのです。
SBI証券・楽天証券での設定手順
設定はネット証券なら数分で終わります。代表的な2社の手順をまとめました。スマホアプリではなくWebサイト(ブラウザ)から設定するのが確実です。
| 証券会社 | 設定の進み方 |
|---|---|
| SBI証券 | ログイン →「My設定」→「お取引関連・口座情報」→「配当金受領サービス」→「株式数比例配分方式」を選択 |
| 楽天証券 | ログイン →「マイメニュー」→「各商品に関する設定」→「国内株式」→「国内株式配当金受取方法」の「変更」→「株式数比例配分方式」を選択 |
他の証券会社でも、メニュー名は違っても「配当金受取方法」や「配当金受領サービス」といった項目から設定できます。今すでに口座を持っている人は、自分の設定がどうなっているか一度確認してみましょう。口座開設の流れがまだの人は株の始め方から確認すると安心です。
投資信託の「分配金」は受け取り方法を問わず非課税
ここで一つ、混同しやすいポイントを整理します。株式の「配当金」と、投資信託の「分配金」は、NISAでの扱いが違います。
| 項目 | 株式の配当金 | 投資信託の分配金 |
|---|---|---|
| NISAで非課税にする条件 | 株式数比例配分方式が必須 | 受取方法を問わず自動で非課税 |
| 受け取り方の選択肢 | 4方式から選ぶ | 「受取型」か「再投資型」 |
| 再投資のしやすさ | 証券口座入金なら再投資しやすい | 再投資型なら自動で再投資 |
つまり投資信託の分配金は、設定に関係なくNISAなら非課税です。ただし注意点として、NISA口座の投資信託で「再投資型」を選ぶと、分配金は同じNISAの非課税枠を使って再投資されます。再投資のたびに非課税枠を消費するので、枠の残りには気をつけましょう。なお、元本の一部が払い戻される「特別分配金(元本払戻金)」はそもそも非課税ですが、利益から支払われる「普通分配金」は課税口座だと課税対象になります。
課税口座の配当金にかかる税金と確定申告
NISAではなく特定口座・一般口座で受け取る配当金には、20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。特定口座(源泉徴収あり)なら自動で天引きされるので、基本的に確定申告は不要です。
ただし、あえて確定申告をすると税金を取り戻せるケースもあります。代表的なのが「配当控除」を使う方法で、課税方式を「総合課税」にすると配当金に対して一定割合の税額控除が受けられます。所得が低めの人は申告したほうが得になることがあります。くわしくは配当控除の確定申告を参考にしてください。
また、株の売却で損が出た年は、配当金と損失を相殺する「損益通算」で税金を減らせます(NISA口座の損益は対象外)。こちらはNISAと損益通算と株の確定申告のやり方で具体的に解説しています。
よくある失敗 TOP5
| 失敗例 | 何が起きる? | 対策 |
|---|---|---|
| 初期設定のまま放置 | NISA配当に20.315%課税 | 口座開設後すぐ株式数比例配分方式に設定 |
| 権利確定日後に設定変更 | その回の配当は課税のまま | 株を買う前・買った直後に設定 |
| 米国株の配当を全部非課税と勘違い | 現地源泉10%が引かれる | 外国株は現地課税が残ると理解する |
| 複数社で別方式にしようとする | そもそも全社共通で不可能 | 1社で設定すれば全社に反映と知る |
| NISA再投資型で枠を使い切る | 新規買付の枠が足りなくなる | 再投資による枠消費を計算に入れる |
初心者チェックリスト
- □ 証券口座の配当金受取方式を確認した
- □ 「株式数比例配分方式」に設定されている
- □ 配当をねらう株は、権利確定日より前に設定を済ませた
- □ 外国株の配当は現地課税が残ることを理解している
- □ 投資信託の分配金はNISAなら自動で非課税と知っている
- □ 課税口座の配当は確定申告で取り戻せる場合があると知っている
このチェックがすべて埋まれば、配当金まわりの「もったいない課税」はほぼ防げます。設定は一度きりで、あとはずっと有効です。まだ確認していない人は、今日のうちに証券口座の設定画面をのぞいてみましょう。
参考になる公式サイト(一次情報)